その経費削減、人材の無駄遣いじゃないですか?

大企業のよくある経費削減

自分は、大企業2社を経験してきましたが、業績が悪くなりそうになると、しばしば「経費削減」をやっていました。経費削減そのものは悪くないのですが、たいていの場合、やり方に疑問を感じました。たとえば…。

  • ボールペンや、クリップなどの、文房具の購入をいっさい止める。不足する分は、社員の机の中から集める。
  • プリンタ用紙の使用量を、毎日、一人一人が数えて報告する。

これらの経費削減は、せいぜい1日1人あたり100円程度でしょうか。

それに対して、一般的に、社員1人の人件費は、福利厚生なども考慮して1時間3,000円ぐらいはかかります。1分あたりに換算して50円です。

つまり、これらの経費削減のために、社員が2分以上働いたら、かえって赤字ということになります。ボールペンを集めるぐらいたいした手間ではない、と思うかもしれませんが、実際にこういう経費削減が告知されると、多くの社員が愚痴をこぼします。愚痴をこぼしている時間だけで、100円ぐらい吹き飛んでいる気がします。

経営者はよく「人材こそが我が社の一番の資産」などと言いますが、こういう行動を見ていると、口先だけでは、と思ってしまいます。

小額の支出は本人裁量にするべきかもしれない

さらに考えを進めると、通常時でも、経費のチェックにかかる人件費というのはバカにならない気がします。2,000円の書籍を買っていいかどうかを、いちいち上司に必要性を説明して、さらにその上司の承認をもらって…、とかやっていると、それだけで書籍代を超えるコストがかかってしまいます。3,000円程度のシェアウェアなんかも同様です。

そう考えると、数千円程度の小額の支出なら、社員各自が必要と思ったら経費として認める、という制度がいいのではないか、という気がしてきます。

不正申請のリスクはありますが、それは、たとえば個人別の利用総額を集計したり、個人別のコスト対効果を見るようにすればいいのでは、と思っています。

すでに、書籍購入費用を会社負担にしている企業はいくつかあるようです。たとえば、GREEの採用ページを見ると書籍購入補助制度として、エンジニア職は月に5万円まで補助する、となっています。

実際の制度の使いやすさや、購入にどこまでの自己裁量が認められているかは分かりませんが、興味深い制度です。

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ここからさらに考えを進めて、「知識労働時代の資本(カネ)の使い方」という記事を書きました。よろしければこちらもどうぞ。
https://casualstartup.hatenablog.jp/entry/20101121/effective_money_use