起業して3年を振り返る(36〜39歳)

この記事の公開は2019年ですが、書かれている内容は2014年頃までのものです。

もともと、2014年頃にこの記事の素案を用意していたのですが、進行中の案件について各方面に配慮が必要であることから、公開を見送っていました。別に特殊な案件に携わっていたわけではないのですが、自主サービスの既存ユーザーや利用検討中のユーザー、コンサルティング案件のクライアントや、さらにはクライアントの顧客など、「もしこの記事を読んだら」と考え出すと難しいのです。

今回、過去の記事を読んだ人からキャリアの続きを読みたいと言われたこともあり、2014年の下書きを完成させて公開することにしました。

なお、同様の配慮は常に必要であることから、2019年現在のことを公開するのはまた5年ぐらい先になると思います。

起業して3年でやったことを振り返る

3年間、一人会社の形態で続けています。自己資金のみ、自分以外の従業員なしです。

この間、以下のようなことをやってきました。

  • 自主サービスとして、小規模なWebサービスをいくつか開発(どこでも方位図法、お好みダムサーチ、メールテスター等)。
  • 自主サービス企業からいただく、コンサルティング案件をいくつか。
  • Google Maps APIを使う、ごく小規模な開発の受託。

技術面で学んだこと

私はもともとソフトウェア開発者ですが、Web系の開発を、エンジニアとして本格的にやったことはありませんでした。この3年の間、既存のシステムや組織体制などにひきずられることなく、自分で企画や技術選定から、実装・運用まで行なうことで、以下のような知識を身に付けることができました。

  • シングルページ的な(以下SPA)フロントエンド重視のWebサイト作り
  • Google AnalyticsやWebmaster Toolsの設定(特にSPA向けのSEOとか、イベントの取り方等)

開発したサービス自体は大したお金になっていませんが、これらの経験を実装レベルでしているビジネスマンはあまりいないようで、コンサルティング案件に大いに活かせています。

特に、SPA的なWebサイト作りは、画面遷移図から始める従来の開発を根底からひっくり返すため(SPAにとって、ブラウザの画面遷移はアプリケーションの終了を意味するので、気軽に遷移するべきではない)、会社勤めを続けて開発管理とか企画だけやってたら理解できなかっただろうなと思います。

事業面で学んだこと

事業面では、以下のようなことを実感しました。いずれも一般的に言われていることですが、自分でやってみて実感すると、理解度が違います。

  • サービスを開発することは、各種フレームワークの普及などにより低コストになったが、開発したものにユーザを獲得するのは思っている以上の時間とコストがかかる。
  • 受託開発案件で収益を上げていこうとすると、フレームワークを何か決めて、それに習熟しておく必要がある(そうでないと、開発の見積もりが困難)。これは、目的に合わせて使うモノを選びたい自分のスタイルとは相反する。
  • 「一緒に仕事をしたことのある人」からの信頼は、思っていた以上に強力な営業ツールである。逆に言えば、それ以外の形で良い仕事をもらうのはなかなか難しい。
  • とはいえ、自分がどんなことなら引き受けるのか、サービスメニューを作り、ポジショニングをしておくことも必要。そうでないと、他の人が、どんな話で声をかけて良いか分からないため。
  • たとえ知り合いからの仕事でも、実際に仕事をもらうときには先方社内の稟議や承認があるので、名刺や自社サイトなどは作っておく必要がある。

2014年以降の方針

起業したときに漠然と「まずは3年」と思っていたのですが(ギリギリ30代ということも考えていました)、ひとまず生きていけていることと、下記2点の満足度が非常に高かったため、このままの形で続けることにしました。

  • 引き受ける仕事やチームを自分で選べること。そんなに多くの引き合いがあるわけではありませんが、会社勤めと違って、「見送る」という選択肢があるのは快適でした。
  • モノ・カネの管理をすべて自分の裁量でやれること。気になる本を自由に買える、出張時に前泊するかどうかの判断が自分でできるなど。小さいことですが、自分の能力をできるだけ高い効率で活かしたい自分には、大切なことです。もちろん、単なるムダ遣いにならないよう、ROI(投資対効果)は意識しています。