「理系」「文系」をどう英訳するか

私は、高校時代に理系コースを選択し、大学時代は工学部で工学学士および修士を取得しています。この経歴を見た人は、日本語話者なら誰でも「理系ですね」と言うと思います。しかし、英語でこの経歴を一言で「○○ですね」と言うには、何と言えばいいのか、かなり悩みます。悩むたびに調べていたものがたまってきたのでまとめておきます。

理系ってscience?

「理系」の英語訳を辞書などで探すと"science"となっていることがあります。
しかし、私が出た工学部を英語で言うと"engineering school"です。取得した学位は"Master of Engineering"です。普段英語で私の専攻を説明するときには"I majored in engineering."と言っています。
では、英語のengineeringはscienceの一部なのかというと、そんなことはありません。
大雑把に言えば、scienceは、多くの自然現象を観察して共通する法則を見出す学問ですが、engineeringは、法則やその他技術を活用して役立つものを作ろうとする学問です。お互い、背景にある考え方がかなり違います。
したがって、私の経歴を聞いた英語話者が"So, you studied science!!"と言うことは想像できません。

日本語で言われる理系はquantitative

日本で人から言われる「あなたは理系なんですね」の「理系」はどんな意味なんだろうと色々と考えてみたのですが、日本語で「理系」と言われるときには、裏に「口下手」「人嫌い」みたいなステレオタイプが含まれていると感じます(たとえば、「理系なのに話がうまい」と言われたことがあります)。
このニュアンスまでうまく訳すには、"quantitative"という単語がいいのでは、と思いつきました。「定量的な」「数字に強い」といった意味です。これを使って「あなたは理系なんですね」を訳すと"So, you are quantitative guy!!"となります。
また、日本の高校の理系コース・文系コースは、quantitative course / qualitative courseと分けると、数学多め・人文系多めの実態をよく表わせると思います(qualitativeは「定性的な」という意味)。
日本の大学の理系・文系についても、quantitative / qualitativeと訳すと、数字を多く使うのに文系に分類される経済学部などを除けば、おおむね実情に合っていると思います。とはいえ、アメリカの大学で専攻をこの2つの言葉で呼ぶことはないので、学部・学科ごとに、理学部ならscience、工学部ならengineeringのように訳し分ける方が通じやすいと思います。

理系・文系は日本だけの分け方?

以下、関連して見つけたWeb上の情報をまとめておきます。

理系/文系の区別を、当たり前だと思っている日本人が多いので、少し説明すべきだろう。
そもそもこんな区別があるのは、発展途上国の特徴である。黒板とノートがあればすむ文系にくらべ、理系は実験設備に金がかかるので、明治時代の日本は、学生数をしぼらざるをえなかった。そこで数学の試験をし、文系/理系をふり分けることにした。
(橋爪大三郎の「社会学講義〈2〉新しい社会のために」p.63より)

  • インドの高校には、science stream / arts streamというのがあるらしい。
    http://www.h3.dion.ne.jp/~tango2/tariki/br.html
  • この言葉で検索してみると、マレーシアの記事で使われているのを見つけました。橋爪大三郎の本にも「発展途上国のやり方」のような記述があるので、数学が得意な生徒を分けて教育するコースは他にもありそうです。

学問の分け方あれこれ

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